細菌とウイルスと真菌の違いとは?検査法の違いも簡単解説!

細菌とウイルスと真菌の違いとは?検査法の違いも簡単解説! 臨床検査

ムーパパです。

「ただの風邪なので、抗菌薬は出しません。咳止めと鼻水止めの薬を出しますね。」

皆さんは風邪をひいて、病院に行った時、医師からこんなことを言われた経験はないでしょうか?
小さなお子さんがいる親御さんは特に経験が多いのではないでしょうか?

では抗菌薬はなんのために使用するのか?
風邪の原因は細菌?ウイルス?
そもそも細菌とウイルスの違いって何?

臨床検査技師の僕が、検査法の違いもふまえて解説した記事になっています。
臨床検査技師については知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

臨床検査技師はマイナー職業?現役技師が教える仕事内容、就職先、収入の本音(?)
現役の臨床検査技師が仕事内容、就職先、収入について書いています。

少しでもどなたかの疑問が解決できれば幸いです。
雑学として友達や家族に自慢するも良し明日のわが身を守るために知識を付けるも良しです!

細菌、ウイルス、真菌、原虫は総称して微生物

細菌、ウイルスなどは総称して微生物と呼ばれ、肉眼で観察することが出来ないほど小さな生物です。

顕微鏡で拡大することでようやく観察することができ、
細菌を例にすると、およそ1μm~5μm(マイクロメートル)程度の大きさです。

さらにウイルスはもっと小さく、0.1μm以下のものが多く存在します。

1μmは1mmの1/1000の大きさの単位です。

髪の毛1本の太さは約80μm、赤血球の大きさは約8μmなので、それと比べると微生物がいかに小さいのかわかると思います。

微生物には他に原生生物(原虫)と分類されるものもありますが、この説明はまたいずれ・・・。
(興味ある方いなさそうなので~・・・(・_・;))

細菌、ウイルス、真菌はそれぞれ大きさや生物としての構造、増殖方法など様々な違いがあります。
それぞれの特徴をみてみましょう。

細菌とは

大腸菌、肺炎球菌、結核菌、ニキビの原因であるアクネ菌、ビフィズス菌などを細菌と呼びます。
細菌は人の皮膚や腸内に存在する常在菌、人に有害な病原菌など様々な菌が存在します。

突然ですが、人間は35~60兆個の細胞から構成されていることはご存じの方が多いと思います。
それに対して細菌はたった1つの細胞のみで存在する単細胞生物なのです。

ほとんどの細菌の表面には、細胞壁と呼ばれる膜があります。
細胞壁は形態の保持や外圧から保護するために存在するとされています。
細胞壁は動物の細胞には存在せず、植物などの細胞に存在する構造なので、
細菌はこの点において言えば植物に近い存在と言えます。

細菌は自分で増殖する機能をもっており、栄養源や水分などの環境が整っていれば、分裂して増殖します。
そのため、自然界でも存在することが可能です。
この点はウイルスと大きく異なります

大きさは1~5μm程度のものがほとんどですが、中には10μm程度のものも存在します。

その他に、DNAとRNAの2つの核酸を持っていることも細菌の特徴のひとつです。

ウイルスとは

インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、水疱瘡、手足口病、HIV(AIDS)などがウイルスによる疾患です。

ウイルスは細菌よりもはるかに小さく、その大きさは0.1μm以下のものがほとんど。
とても小さい存在のため、理科の実験で使う普通の顕微鏡(光学顕微鏡という)では観察できず、観察には電子顕微鏡という特殊な顕微鏡が用いられます。

ウイルスの最大の特徴として、生きた細胞内でのみ増殖することができるという特徴があります。
つまり、人間や動物などの細胞に寄生することでしか生きられない微生物なのです。
そのため、細菌とは異なり、細胞外に出た環境では長く生存することがはできません。

また、ウイルスの核酸はDNAかRNAのどちらか1つであることも特徴です。

真菌とは

真菌は、カビ(糸状菌)、酵母、キノコなどのことを指します。

カビ(糸状菌)は、菌糸と呼ばれる木の枝のような形をしていて、胞子によって増殖します。

この胞子による増殖には有性生殖によるものもあり、雄雌の接合により増殖するものが存在します。
簡単に言うと、植物の「おしべ」と「めしべ」のようなものがあるというのが想像しやすいかもしれませんね。

酵母は、食品などにも使われることが多いので、聞いたことある方が多いのではないでしょうか?
いわゆるイースト菌というやつで、パンやお酒の発酵に使われるものです。

酵母は球体や楕円形をした単細胞で、大きさは3~4μmのものが多いとされています。

酵母の増殖は、自分の体から芽をだし、大きくなったら分裂して増殖します。

また、真菌には人間の細胞と同じようにミトコンドリアが存在するため、自分でエネルギーを産生し、呼吸することができます。

真菌も細菌と同様に細胞壁が存在します。

細菌、ウイルス、真菌の違いまとめ

ここまで、細菌、ウイルス、真菌の特徴を書きました。
簡単に比較してみましょう。

細菌、ウイルス、真菌の違い

抗生物質(抗菌薬)は何に効果があるの?

冒頭でも述べたのように、風邪をひいた時に病院に行ってもらう薬といえば、大抵の場合は咳止めや鼻水を抑える薬だと思います。
時々、抗生物質を出されることもあるかもしれません。
では抗生物質(抗菌薬)はどの感染症に効果があるのでしょうか?

抗生物質は、別名抗菌薬。
そう。抗「」薬なのです。

抗生物質は細菌真菌に効果がある薬になります。
真菌に作用する抗生物質を、細菌に作用する抗菌薬とわかりやすく分類するために、抗真菌薬と呼んだりもします。

抗生物質は、細菌の細胞に存在する細胞壁に作用するものや、細菌の増殖時に起きる蛋白合成を阻害するものなどが存在します。
これら全ては、細菌に特有の細胞構造や増殖に作用するものであり、細菌以外には作用しません。
また同じように、抗真菌薬も真菌特有の細胞構造や増殖に作用するものなので、真菌以外には作用しません。

つまりウイルスに抗生物質は効果がない、ということです。

ウイルスの場合は、多くはワクチンや免疫を高める製剤(グロブリン製剤)がほとんどです。
一部抗ウイルス薬として、ヘルペスウイルスやHIV、インフルエンザに対する薬が開発されています。

風邪の原因の80~90%がウイルス?

一般社団法人 日本呼吸器学会によると、風邪の原因は80~90%がウイルスによるものとされており、細菌の感染による風邪症状はごく一部とされています。

そのため、一般的な風邪の場合には抗菌薬は処方されず、咳止めや鼻水を抑えるなどの対処療法が行われます。

また、不要な抗菌薬の投与は、人間の本来持っている常在菌にも作用し、殺菌されます。
その中で生き残った菌の中に、抗菌薬に対する耐性機能を保有してしまうことがあります。
耐性機能は、他の菌に教え合うことが出来るものも存在するため、
いざ、重篤な細菌感染を起こしたときに、その感染を起こした菌が耐性機能を持ってしまうと抗菌薬が効かないという恐ろしいことが起こってしまいます。

これは世界的にも問題視されていて、不要な抗菌薬は使用しない、それぞれの菌に適切な抗菌薬を適切な量投与するという決まりもあります。

細菌、ウイルス、真菌の検査法

細菌、ウイルス、真菌はそれぞれ検査法が異なります。

細菌、ウイルス、真菌などの微生物は、目で見ることができないほど小さい存在のため、
そのままの状態では形や性状を調べることが困難です。
そのため、細菌や真菌では、人工的に増殖させて、目で見える量に増やしてから検査を行うことが基本です。
しかし、ウイルスの場合は細胞内でしか増殖しないため、人工的に増殖させることが困難なため、別の方法で検査を行います。

細菌の検査法

基本的には、感染の部位を拭った検体を栄養の豊富な寒天(培地)の上に塗布して、増殖(培養)させます。
増殖した菌を、顕微鏡で観察したり、糖の分解能や様々な機能の有無を検査して、菌の種類を決定します。
菌の種類を決定することを「同定する」と言います。
同定には1~3日程度かかります。
また風邪などの場合には、検体が口や鼻の拭い液なため、常在菌も多く、目的の病原菌が見つけられないことも多々あります

また、簡易な方法として、あらかじめ目的の細菌に対する抗体を染み込ませてある紙に、
患部を拭った検体を反応させ、反応があればその菌が存在しているという検査法もあります。
この方法は診察室などで行われることもあるので、見たことがあるかもしれませんね。

その他の検査法としては、遺伝子検査があります。
生物のDNAやRNAには、種族や種類によって一定の配列が存在します。
目的の菌の配列が存在するかどうかを調べるのが遺伝子検査です。
結核菌の検査で多く行われます。

ウイルスの検査法

ウイルスは、細胞内でしか増殖することができないため、人工的に増やすことが困難です。
そのため、細菌の簡易検査同様に、目的のウイルスに対する抗体を染み込ませた紙に、検体を反応させ、反応があればそのウイルスが存在するという検査法が主に用いられます。
インフルエンザの検査は主にこの検査法で診断をします。

簡易検査ではウイルスの抗原が存在するということを証明できますが、その抗原量(ウイルスがどれくらいいるのか)や目的のウイルスに対する抗体量を血液検査で測定することもできます。
この方法はB型肝炎ウイルスの検査でよく行います。

細菌同様にウイルスでも遺伝子検査が行われます。
主に確定的な検査として行われ、B型肝炎、HIVなどで行われます。

真菌の検査法

真菌の検査法です。

真菌は細菌同様、培地で培養して、形や性状を調べて同定するのが主な検査法になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

細菌、ウイルス、真菌の違いを違いを簡単にまとめてみました。

子供を病院に連れて行くと、ただの風邪だねと言われて、咳と鼻水の薬を出されて終わり。
なんてことも多いと思います。
親としてはろくに検査もしないで、本当に大丈夫?と心配になってしまいますよね。

ただ、記事にも書いた通り、風邪症状のほとんどはウイルスによるもので、
そのほとんどが自然治癒します。

大人もそうですが、風邪をひいた時には、しっかり栄養をとって、安静にするのが一番ですね!

ムーパパ

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