白血病は治る時代と言われる理由とは?発症原因と治療法を簡単解説!

臨床検査

ムーパパです。

つい2カ月ほど前に、水泳選手の池江璃花子さんが白血病であることを公表しました。著名人が白血病や癌であることを公表する度に驚きますが、その中でも衝撃的なニュースでしたね。

僕は臨床検査技師で、血液検査を担当しています。血液検査は、赤血球や白血球の数、形態の異常を見つける検査を行う部門で、白血病の診断に必要な検査を日々行っています
臨床検査技師について知りたい方はこちらをご覧ください。

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白血病と日々向き合っている身として、なぜ彼女がと思うばかりでした。

この公表を受けて、色々なニュースが報じられましたが、こんなことを目にしたことはありませんか?

「白血病は今では治る病気です!」

以前は死亡率がとても高く、危険な病気とされていました。今でも白血病のタイプによっては危険なものもありますが、現代の医療や検査の技術の進歩により、治る可能性や治療の精度は上がってきたと言われています。厳密には生存できる確率が上がってきているというほうが正しいかもしれません。

今回は白血病がなぜ治る時代と言われるのか、白血病を検査する臨床検査技師の視点から、なるべく簡単に解説してみたいと思います。


そもそも白血病とは?

白血病は、血液細胞(主に白血球)が腫瘍化し、異常に増殖する疾患です。

腫瘍化した細胞が異常増殖することで、正常な血球(赤血球、白血球、血小板)が造られなくなってしまいます!

それぞれの血球の働きは、

・赤血球:酸素の運搬

・白血球:体内に侵入した病原体や異物に対する防御機能

・血小板:止血機能

それらの血球が造られないことで、貧血による倦怠感や息切れ、感染症、出血が起こりやすくなります。

また、腫瘍化した細胞が臓器に浸潤することで、中枢神経症状やリンパ節腫脹、肝脾腫を起こします。

白血病は大きく分けると4つに分類されます。

急性慢性
骨髄系急性骨髄性白血病(AML)慢性骨髄性白血病(CML)
リンパ系急性リンパ性白血病(ALL)慢性リンパ性白血病(CLL)

通常の血球細胞は、造られた直後は赤ちゃん細胞の状態で、成長し大人の細胞となることで初めて、正常な血球として働くことが出来ます。

急性白血病は、この成長が出来なくなった異常な赤ちゃん細胞が増殖する疾患。未熟な細胞のみが増殖するため、発症後すぐに症状が起こり、早急な治療が必要となります。

これに対して慢性白血病は、異常細胞も成長することができ、赤ちゃん細胞から大人細胞まで様々な段階の細胞が異常に増殖します。そのため初期には無症状なことが多いのが特徴です。

これらからさらに詳細な分類があり、それぞれ病態や治療方針が異なります。

白血病発症の原因

白血病の発症は遺伝子変異の蓄積とされており、変異の原因は様々なものが関与しているとされています。

遺伝子変異の原因とされているものは

  • 細菌
  • 薬剤
  • ウイルス
  • 放射線

などがあります。

白血病の治療

急性白血病と慢性白血病の治療は異なります。

急性白血病では、異常細胞を根絶させるための治療を行います。

まずは顕微鏡で異常細胞が観察されなくなる状態(形態学的完全寛解といいます)を目指し、多剤併用化学療法を行います。化学療法とは抗ガン剤で治療を行うことです。単剤投与の場合、その薬剤に対して抵抗する異常細胞がいた場合、治療が不十分となります。多剤投与することで、ある薬剤に耐性を持つ異常細胞も別の薬剤によって死滅させることができます。

完全寛解を達成しても体内には異常細胞が存在します(微小残存病変)。そのため、地固め療法と維持・強化療法を行い、治癒を目指します。白血病の種類や年齢などによって治療は様々ですが、造血幹細胞移植や軽めの化学療法を行います。

造血幹細胞移植とは?ドナーから提出された正常の赤ちゃん細胞(造血幹細胞)あるいは患者自身の正常な赤ちゃん細胞を移植する治療法。異常細胞を化学療法で徹底的に排除し、正常の細胞を移植することで、正常造血の回復が期待されます。
ドナーとは?細胞を提供する側の人のこと。移植にはHLA遺伝子という遺伝子の型が一致していないと拒絶反応が起こるため、実施することはできません。HLA遺伝子の一致は兄弟で1/4の確率。非血縁者だと1/10000以下となります。そのため、まず兄弟などの血縁者のHLA型を確認し、一致しない場合には、骨髄バンクで一致する型のドナーを探すことになります。骨髄バンクへの登録は、献血センターや保健所で行うことができます。

次に慢性白血病ですが、慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病で異なります。

慢性骨髄性白血病は、初期では無症状なことが多いですが、無治療で3~5年経過すると急性白血病と同様の症状を示すようになります。その状態にさせないために無症状の場合でも薬による治療が行われます。この薬は副作用が少ないとされています。

慢性リンパ性白血病は、無症状なことが多く、その期間は経過観察のみで、症状が発症した場合に化学療法を行います。



白血病は治る時代と言われる理由!!!

理由その1

さきほど治療について書きましたが、治療には化学療法(抗ガン剤治療)が行われます。一般的な抗ガン剤は、DNAを障害し、細胞分裂が出来ない(細胞を増やさない、成長させない)状態にするものであり、その作用は異常細胞のみならず、正常な細胞にも作用します。そのため副作用が比較的強い傾向にあります。

それに対し、異常細胞のみをターゲットにする抗ガン剤が存在し、分子標的薬と呼ばれます。分子標的薬は、近年の遺伝子解析の発達により、異常細胞がどのような遺伝子を持っているかが解明されてきたことで誕生した抗ガン剤の一種です。直接異常細胞をターゲットにするため、治療成績が良いとされています。この種類の薬剤が誕生したことが、白血病は治る時代と言われる理由のひとつです。また、異常細胞のみに作用するため、副作用が比較的経度であるとされています。慢性骨髄性白血病の薬もそのひとつです。

遺伝子解析の研究は日々進歩しているため、分子標的薬の新薬の開発もどんどん進んでいるようです。

理由その2

遺伝子解析の発達により、検査の分野においても遺伝子レベルの検査が行われるようになりました。

これにより、以前は治癒したとされてきた状態でも、遺伝子レベルで検査をすると異常細胞が体内に残っていることがあるということが分かってきました。この残っている異常細胞を微小残存病変と呼びます。

微小残存病変がある状態で治療をやめてしまうと、再び異常細胞が増殖し、数年で再発してしまいます。

そのため、治療後には微小残存病変の確認のために遺伝子検査を行い、完全に消失したことを確認します。また、定期的に遺伝子検査を行い、再発の確認を行い、異常細胞の増殖が少ない段階で再発を見つけることが可能になりました。

遺伝子検査により、治療成績は良くなったとされています。この検査はもちろん、臨床検査技師が行っています

理由その3

白血病の治療には、化学療法の他に、造血幹細胞移植も行われます。

造血幹細胞移植には、ドナーから細胞を移植する場合と、自分自身の正常な細胞を移植する場合があります。このドナーは血縁者にHLA型が一致する人がいない場合に、骨髄バンクから探すことになりますが、この骨髄バンクの登録者が年々増加傾向にあるようです。

非血縁者の場合のHLA型一致率は1/10000以下と非常に低いですが、登録者が増加すればそれだけ一致する確率も当然上がります

骨髄バンクの登録は保健所や献血センターで行うことができます。あなたが登録することで救われる命があるかもしれません。興味のある方は一度問い合わせてみてください。

また、骨髄バンク以外に臍帯血バンクというものも存在します。臍帯血とは、出産後の胎盤や臍帯(へその緒)に残った胎児由来の血液のことです。その血液に含まれる造血幹細胞を移植することも可能です。臍帯血バンクは、臍帯血提出希望の産婦から提出された臍帯血を凍結保存し、移植が必要な患者さんにHLA型一致した臍帯血を提供します。

臍帯血は本来分娩時に廃棄される胎盤やへその緒の血液を採取するので、母子ともに血液を抜かれることはありません。血液採取された後のへその緒もしっかり貰えるので、今後分娩予定の方は検討してみてください。ちなみに、うちの子の臍帯血もしっかり提供しました。

白血病検査における臨床検査技師の役割

白血病は主に血球(白血球、赤血球、血小板)の数の異常を見つけ、その後、血液を顕微鏡で観察することで、異常細胞を見つけて医師に報告します。

そのため臨床検査技師がしっかり異常細胞を見つけることが出来なければ、白血病と診断することが出来ません。異常細胞の判断にはある程度のスキルと経験が必要であるため、臨床検査技師には日々の鍛練が求められます。

僕自身も必至に勉強した結果、血液検査の認定資格を取得することができ、白血病などの血液疾患の検査に従事しています。非常に責任のある検査であると日々感じていて、白血病のニュースを見るたびに人一人の人生を左右する検査をしているんだなと考えてしまいます。これからも精進あるのみですね!

まとめ

非常に長く、難しい内容となってしまいました。σ(^_^;)最後まで読んで頂いた方、本当にありがとうございます。

白血病が治る時代と言われる理由は、分子標的薬の発展遺伝子検査の進歩骨髄バンク登録者の増加臍帯血バンクの発展でした!

皆さんのお役に少しでもなれていたら幸いです!

そしてもし良かったら、骨髄バンク、臍帯血バンクに登録しましょう!誰かの命を救えるかもしれません!

ムーパパ

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